真珠と言えば、冠婚葬祭用に1本くらい、ネックレスをお持ちなのではないでしょうか?
今回は、養殖真珠についてお話したいと思います。
単刀直入に申し上げて、私は、現代の養殖真珠には魅力をあまり感じません。
どうしてなのか。
自然からかなり遠い存在となっているからです。
あこや養殖真珠は、御木本幸吉が真円真珠の養殖に成功したのが1906年
3から5年間、貝を海に入れ、7ミリの真珠を作りました。4ミリの核に1.5ミリの真珠層ができており、
それで天然真珠と認められたわけです。

写真は、弊社のアンティークリング。
1900年頃のものです。インドの貴族所有のものでした。
鑑別を取ったところ、中央の真珠は養殖真珠で、Xレイは取っていないので、どのくらいの大きさの核があ
るのかわかりませんが、100年経っても変色の度合いが天然のものと変わりませんし、もちろん真珠層が厚いの
で天然真珠と同じ質感がありますので、鑑別するまで養殖真珠だとはわかりませんでした。
年代的にも、もしかしたら、御木本幸吉が養殖したあこや真珠かもしれませんね。
これが、本来の養殖真珠です。
ところが、現在では、海の中に入れている時間が短く、7か月程度で真珠層が0,2ミリというようなものまで
売られています。
それに加え、真珠産業保護のためか、他の天然石に比べ、処理の方法などがわかりにくい表現になっており、
ほとんどが漂白をしてから染色をしているのに、真珠だけは染色ではなく調色という表現をとっていて、お客
様には非常に不親切になっています。
インドの場合、御木本幸吉以前、ずっとずっと前から海の天然真珠(バサラパール)を身に着けていました。
だから、真珠に対する目は厳しいです。
実際、百貨店の催しなどで、あこや真珠を扱う業者さんと一緒になることも多いのですが、
きれいなことは認めますが、身に着けたいという衝動が起きません。
真珠以外の宝石は、処理などがあれば、非常にうるさく説明を求められるのですが、
真珠だけは、オブラートに包んであやふやにしています。
そのようなところが、一般に売られている真珠が魅力を訴えかけてくれない理由なんですね。
もちろん全部が全部ではないですよ。
ケシパールの素晴らしいものもたくさんあります。が、お高い!
一粒百万円とか!他の石と同じです。
なかなか、それをネックレスには無理ですよね。
養殖真珠、扱う業者さんも一度、御木本幸吉の時代を振り返って、原点を見つめ直してほしいものです。
とはいっても、中国産との競争が激しいでしょうし難しいんでしょうね。
だから、私は、真珠の巻きの薄いのはいらないかな(笑)